Story
人と自然が紡ぐ、あたたかく美しいタイのものづくり。
日本から飛行機で約7時間。
発展を続ける大都市の賑わいと、昔ながらの素朴な暮らしが共存する国、タイ。
地域ごとに異なる伝統文化が根付いており、今もなお手仕事の技が受け継がれています。
タイ各地では、自然の恵みを活かしたものづくりが盛んです。地域ごとに気候や風土が異なり、それぞれの土地に根付いた技法が受け継がれています。
北部の山岳地帯では、少数民族が伝統的な暮らしを営みながら、手仕事を受け継いできました。織物の文化が深く根付いており、手織り布や草木染めが代表的な工芸のひとつ。
綿や麻などの天然素材を用い、手紡ぎの糸を織り上げることで、機械織りにはない素朴で温かみのある風合いが生まれます。
山々に囲まれた静かな村で生み出される織物や刺繍は、地域の暮らしと密接に結びつき、長い年月をかけて培われてきたもの。手間を惜しまず、自然と共存しながら作られるこれらの工芸品には、手仕事の魅力が詰まっています。
一方、水辺に恵まれた地域では、タイの伝統的な水草「カチュー」 を使った編み細工が受け継がれています。
カチューは川辺や湿地帯に自生する水草で、軽くて丈夫、通気性に優れた素材。乾燥させた後、熟練の職人が一本一本均一な幅に裂き、指先の感覚だけで繊細な模様を編み上げていきます。
もともと日常の収納や市場での荷運びに使われてきましたが、近年ではモダンなデザインと融合し、新たなライフスタイルアイテムとしても注目されています。
さらに、自然素材で環境に優しいサステナブルな工芸品として、持続可能な暮らしを支える存在にもなっています。
タイの風土と暮らしに根ざしたカチュー編み。職人の手仕事が生み出す、しなやかで美しい編み細工は、伝統を守りながら進化し続けるタイのものづくりのひとつです。
便利さや効率だけでは生み出せない、手仕事ならではのあたたかさと味わい深さ。
暮らしにそっと馴染みながら、使うたびに愛着が増していく。そんな暮らしの中の道具を通じて、タイの伝統と手仕事の魅力を感じてみませんか?