時を重ねるほどに味わい深く。ベトナムのソンべ焼き

ベトナムの街を歩くと、
絶え間なく響くバイクのクラクション。

道を埋め尽くすバイクの波と、
人々の活気あふれる声。

道端では屋台が軒を連ね、フォーやバインミーの香ばしい匂いが漂い、プラスチックの小さな椅子に座って食事を楽しむ人々の姿があちこちに見られます。
路地を進めば、職人が丁寧に仕上げる手仕事の道具や、家族経営の小さな商店が並び、古くから続く暮らしのリズムが息づいています。

一方で、ふと視線を上げれば、フランス植民地時代の面影を色濃く残すコロニアル建築が目に入ります。
黄色やクリーム色に塗られた装飾的なファサード、美しいアーチや木製の鎧戸が特徴的な建物たち。

ホーチミンやハノイの街角には、かつてのフランス統治時代に建てられた教会や郵便局、政府庁舎が今もその姿を留めています。
また、カフェ文化もその名残のひとつ。
ベトナムコーヒーが注がれたガラスのコップを片手に、ゆったりと談笑する人々の姿は、どこかヨーロッパのカフェ文化を彷彿とさせます。

近代的な発展を遂げながらも、どこか懐かしさの残るベトナムの街並み。
そんな風土の中で生まれ、長く愛されてきたのがソンべ焼きです。

ソンべ焼きとは?

ソンべ焼きは、かつてベトナム南部の旧ソンベ省で作られていた陶器。
その歴史は17世紀頃に遡り、中国から作陶の技術を持ち込んだことが始まりとされています。
フランス植民地時代の影響を受け、西洋のデザインや技術が加わりながらも、素朴な日常使いの器が作られるようになりました。

しかし、大量生産の波に押され、現在ではほとんど作られなくなり、当時のソンべ焼きは貴重な存在となっています。

ソンべ焼きの特徴は、ぽってりとした温かみのある乳白色の素地と、素朴な手描きの模様。
花や鳥、幾何学模様などが職人の手によって一枚ずつ描かれ、同じものはひとつとしてありません。

釉薬のかかり具合や筆のかすれ具合に個性があり、手仕事の跡がそのまま器の味わいになっています。

暮らしに寄り添う、手仕事の器

現代の洗練された食器とは異なり、どこか無骨で素朴。
それでも、あるいはだからこそ、日常に馴染みやすく、使うほどに愛着が増していきます。

ベトナムの人々の暮らしの中で育まれてきたソンべ焼き。その歴史と手仕事の魅力を、ぜひあなたの暮らしにも取り入れてみませんか?

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